どの機能に対応するべきかを「ユーザーの利用意向」を超えて考える

ちょっと前にとあるサイトの企画をしていて「ケータイの機能でどれに対応するか」という話をしていました。

最近はどんなサービスでもケータイ対応は必須だと思います。
しかし一口に「ケータイ対応」と言っても、メールでの投稿に投稿に対応するとか、GPSに対応するとか、そのレベルはいろいろあると思います。
使われない機能はユーザーにとっては妨げでしかないですから、確実にユーザーに使ってもらえる機能を選んで実装したいものです。


今回は、そんな機能の取捨選択について、例によって自分にできているかどうかは棚に上げて、思ったことをなんとなく書いてみます。


対応する機能・対応しない機能の判断基準


たとえばCGM系サイトを作るとします。

ケータイから投稿できるというのは必須だとして、ではケータイに数ある機能の中から、どれに対応すればいいのでしょうか。
  • 画像の投稿に対応するか?
  • 絵文字の投稿に対応する?
  • GPSによる位置情報投稿には?
  • デコメ投稿は?


機能に対応するかどうかを「自分が使うから or 使わないから」で判断するのは問題外だとして、陥りやすいのは、インターネット白書などの資料を取り寄せて各機能の利用率と利用意向率を見て、単純にその数字から判断してしまうことです。


たとえばGPSに対応するかどうかを判断するときのことを考えてみましょう。

インターネット白書2007』のデータを見ると、GPS機能を使ったことのある率は16.4%、利用意向率は27.3%、逆に利用したいと思わないと答えた人は34.6%となっています。
この数字だけを見ると、「GPSを利用している人は少ないし、使いたいと思っている人も少ない」との判断になりがちです。
たしかにGPSは位置情報取得に時間がかかり、電池を大量に消費するため、使い勝手の良い機能とは言えません。ましてやそんな困難を日記に地図を貼りたい人などめったにいないので、この数字は妥当でしょう。

しかしこの判断方法が本当に正しいのか、わたしは疑問に思っています。

なぜなら、ある機能を自分が使っている姿を、いま世に存在しているサービスや自分が体験したことのあるサービスを超えて想像できる人は少ないからです。ということは、GPS機能を使うかどうか、これから使いたいかどうかの数字は、いま世に存在しているGPS対応サービスの枠の中で出されたものであり、決して来るべき近い将来の姿を予想した結果から出た数字ではない、と思うのです。


「使わない理由」を把握する


その機能は本当に使われないのか?を判断するときには、使わないと判断した理由を聞いてみることは大事だと思います。

「GPS機能はいらない」「GPS機能を使わない」という人に、そう判断した理由を聞いてみると、だいたい以下のような意見が出ました。
  1. 電池を食うから
  2. 位置取得に時間がかかり、やりたい作業の妨げとなるから
  3. 他人に自分の居場所や、いた場所を教えたいとは思わないから


こうして理由を聞いてみると、1つめと2つめの理由は「たしかに使いたくないよね」と思わされますが、でも近い将来、それこそ1年とかのスパンで解決しそうなものであることがわかります。

3つめについては、積極的にGPSが必要ないと言っているわけではないことに気づきます。

こうして理由を確認してみると、サイト制作側からの提案次第ではGPSは十分に受け入れられる可能性があるように思えます。

たとえば日記サイトなら、投稿画面にアクセスした時点で、最近撮影した画像が撮影時間と位置情報を参考にグルーピングされて投稿画面横に表示されていて、ドラッグ&ドロップするだけで投稿可能、とかになっていると、画像付き日記の投稿がとてもしやすくなるかもしれません。
(すでにeye-fyやDoCoMoの実験サービスなどもあることから、撮影したら自動で即ネット上ストレージにアップされてて再利用可能な状態、という時代もすぐに来るでしょう)

GPSに対応することで、位置情報を貼り付けられるようになるだけでなく、UIの改善に利用できるのです。


まとめ:新しいなにかを作るために「今使われていないから」「使いたいと思っている人がいないから」を超えた判断をする


なにか新しい提案をもったサービスを作ろうとしているのなら、現時点での「この機能は使われないだろう」という判断の枠を一度リセットする必要があるように思います。

近い将来解決されそうな問題を把握し、それが解決されることを前提にアイデアを出すことで初めて、ユーザーに機能を利用するかどうか聞ける状態になるのだ、といえるかもしれません。

なぜなら実際の作ったものを(プロトタイプでもOK)触ってもらうかしない限り、一般ユーザーにその便利さは伝わらないと思われるからです。
(だからこそ新しいサービスには前もってモックアップによるプロタイピングテストの必要性があるのだと思います)


このような例はすでにいくつもあります。

ajaxのような非同期通信は最初、プッシュ技術として登場したときは「定期的に最新のニュースを配信してくれる」くらいの使い道しかありませんでした。
当時はインターネットアクセスは従量制だったため、定期的にネットにつなげられたらたまらん、ということで非同期通信はほとんど需要がありませんでした。
しかし時がたって、インターネットが高速化・定額化したときに、それはGoogleマップという実際のサービスの形になり、非同期通信の評価は変わりました。

きっとGoogleのスタッフたちは、非同期通信技術が広まる条件を把握し、それが満たされることを予測し、有効な使われ方を検討し、その準備をしていたのだと思います。


デコメも同じです。
2年前の調査では、デコメも「使わない」「使いたいと思わない」と答える人が大半でした。
しかしその後、メールで絵文字を選ぶのと同じインターフェースで使えるようになったとたん、爆発的にヒットし、今では当たり前のように利用されるようになりました。
(本来デコメとはイコールhtmlメールのことだったのですが、最近のユーザーは『オリジナル絵文字機能』と認識し、利用しているようです)

デコメを使わない理由、使いたくならない理由は「入力がめんどくさい」だったのですが、それが解決されたことで利用率、利用意向率ともあっという間に増えたのです。


ケータイに限らず、機能や技術は次々に現れますが、それがユーザーに受け入れられないと判断する前に
「なにが解決すれば使われるのか」「それが解決したらユーザーにとってどんな利便を提供できるようになるか」そして「その問題はもうすぐ解決されるのか?」
を考えるのが、新しいサービスを企画する上で必要なスキルのような気がするのです。


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